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土, 03 11月 2012 04:10

テゼック拾い

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今回は、「テゼック拾い」について紹介します。
 
 
まずは「テゼック」について簡単にご紹介したいのですが....。
 
 
テゼックとは、これです↓じゃーん!
 
 
乾燥した牛の糞の事です。なぜこれを拾うのかというと、テゼックはウルギーのような木の少ない乾燥地域の「大事な焚き付け燃料」だからです。草をいっぱい食べた牛から出た糞は、カラカラに乾燥すると、草と変わらないかのように良く燃える燃料となるのです。
 
 
勿論、火をつけるのに石炭を使う家庭もありますが、石炭はお金もかかるし、出てくる煙も汚い。それに比べてテゼックはそこら辺に落ちてるからお金かからないし、出す煙も汚くない。わお!牛さんって、とってもエコ!^^
 
 
テゼックはよく燃えるに加え、しっかり乾燥したものを燃やしてつけた火は暖かい。しかも、燃えカスに熱が残るので、炎が消えてしまってもテゼックの燃えカスの上に新しいテゼックを足せばマッチを使わずともあっという間に火がつくのです。すごい便利!
 
 
ガスや電気によって火をつけない牧民さん達にとって、テゼックは無くてはならない生活必需品なのです!ですが、このテゼック、厳冬期(1~2月)には集められなくなります。理由は色々ですが、第一に雪が降り積もり牛が得られる草の量が減ってしまうため。また、マイナス40℃〜50℃にもなると人間にとっても外での長時間の作業は厳しいからです。
 
 
そのため、今!!!!この時期に冬に備え、テゼックを拾いに行かねばならないのです!!!!ものすごく大事な仕事なのです!と、いうわけで、前回(10月)のサグサイ滞在中は、お世話になっているマナ家の三女アゲリカと一緒に毎日テゼック拾いに出かけてました。
 
 
*****
 
「はい、この袋持っていって!」とアゲリカに手渡されたのは、容量10kgほどのずた袋。これをもって、さぁ、出発!
 
 
↑テゼック拾い中のアゲリカ。
 
 
とりあえず、家の近くをうろうろ。草原には、牛の糞がたくさん落ちてる。どれでも拾い放題!ただし、問題は、ちゃんと乾燥してるかどうかを見分ける事。おそるおそるテゼックらしき牛の糞を蹴り上げてみる。ん!コツン、カツンって音がした!これは大丈夫!ん?グニャ?これはダメ....。だんだん、蹴らなくても見た目で判断できるようになってくる。なんとか、一袋集めた!よし、この調子で、もう一袋....。
 
 
最初の頃は、余裕があったんです。「あの外国人、サグサイ村に何しに来たのかしら?」って人が聞いたら「テゼック拾いの修行にきたんだろう?」って噂になるくらい、上手くなってやる!!!!と、思ってたんです。(あとでこの話をカザフ人にしたら、めっちゃ笑われた....。)
 
 
でも、1時間経過し、2時間経過し、3時間経過し.....だんだんお腹がすいてきて.....3袋目を集め終わったくらいで、もう限界だ!!!と、叫びそうになったり.....。タイミングよくアゲリカが「じゃ、そろそろ終わりにしよう!」と声をかけてくれて、ああ、助かった!
 
 
 
「アゲリカは、何袋集めたの??」と聞くと、10袋集めたよ!とるごい(私の事)は?」と聞かれてしまった。ガーーーーーン!!!10袋!?あたし3袋しか集められなかったよーーー!(泣)
 
 
↑拾っては積み上げ、拾っては積み上げ.....。
 
 
しかもアゲリカは、途中で携帯いじりながら、べちゃくちゃ友達とおしゃべりまでしてたのに....。子どもの頃からの積み重ねか。素晴らしい......。感心してしまいました。
 
 
*****
 
10月下旬、県央(アイマグ)のクグルシン家に戻ると、こちらでもテゼックを拾いに行こうと話になっていました。当然、同行したいと名乗り出ました!これは、修行の成果を見せる時だ!
 
 
で、とある平日の朝。クグルシン家の2人と一緒に、テゼック拾いに出発!県の中心から30kmほど北西へ向かった平原で、拾い集めることになりました。
 
 
↑こんなところ。夕日に照らされて黄金色にヒカル草はとてもキレイだったケド.....。
 
 
ところが、ここ、サグサイみたいにテゼックが沢山落ちて無い!!!なんでーーーー?!(あとで、その地は冬営地だっていうことと、県から近いため他の人も拾いに来るっていう理由で少ないのだと知った。
 
 
この日、私に渡された袋は、容量20kg......集めても集めても、全然袋が満たされない。一方、妹分のジャナルは、あたしがやっと3分の1集めた頃にもう満タンにテゼックを集めきって、早くも2袋目に。
 
 
いったい、どうやったらそんなにはやく集められるんだろうか.....。あのサグサイでの修行は、なんだったんだぁ.....。全然袋がいっぱいにならない.....。あまりの私の鈍さにしびれを切らしたのか、遂にジャナルが「姉さん、一緒にまわろう。」と言ってくれました。
 
 
すると、気がついた。あたしの視界はせいぜい前方90度くらいしか見えてないのに対して、ジャナルは多分240度くらい周りが見えてる.....!!!!「ねぇさん、そこに落ちてる。」「ほら、あれ拾ってきて!」と、指示がどんどん出る出る.....。うーん、ジャナルとアタシの草原の見方、全然違う!集めるのが、速いはずだよなぁ。
 
 
袋がいっぱいになると、ジャナルは「おりゃぁ!」20kgのテゼックを担ぎ上げてズンズン歩く。す、すげぇ。男前だ。一方のあたし、20kgを持ち上げた瞬間、袋に潰された......。
 
 
↑ジャナル。袋の淵までびっしりテゼックを拾う。
 
 
今はテゼック検定10級くらい超下っ端の私ですが、いつかはアゲリカやジャナルのように....テゼック検定五段くらいになりたいなぁと、風に吹かれながらぼぉっとくだらない事を考えつつ、結局この日は、6時間もぶっ通しでひらすら外でテゼック拾いしてました。3人で約220kg分拾いました。車が重そうだった。
 
 
↓最終的には、容量20kgの袋11袋分を集めた。死ぬほど疲れた。
↑乗用車に詰め込む。ちなみに、見えている座席は、運転席と助手席.....。
 
 
ぐへぇ。お腹空いた。帰りはヘトヘト、夜は爆睡しました。よだれが出るほど.....。
 
 
カザフ人女性たちって、この重労働に加えて、他の家事も見事にこなし、更にはアレだけの見事な刺繍やら装飾品やらを作り上げるんだから.....すごい。テゼック拾いを通じていろんなこと、考えさせられました。うん、また行ってこようっと。

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