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月, 02 9月 2013 17:52

カザフの馬乳酒

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8月も終わり、モンゴルは徐々に秋らしくなってきました。
田舎では草も青々とした緑色から、黄色い秋色へ変わっています。
吹く風もひんやり冷たく、過ごしやすい日々が続いています。
 
管理人は今ウランバートルにいます。
ウルギーには、9月中頃に戻る予定です。
自分の留学も残すところ3ヶ月弱。
去年の4月から始まった留学ですが、気がつけば帰国する日がどんどん近づいています。
モンゴルで生活できる今この瞬間を無駄にしないように、
気合い入れ直して見るものしっかり見なくてはと思う今日この頃です。
 
今回は、カザフ人の馬乳酒作りについて、紹介します。


***
 
モンゴル国のカザフ人は、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ラクダの5畜すべてを搾乳の対象としています。他の地域に居住するカザフ人は、どうやら条件が異なっているらしく、ウシとウマのみ搾乳しているところもあるようです。
 
ウマの搾乳は、7月初め頃から始まるようです。子馬が産まれてから1ヶ月経過した頃から行われ、8月下旬まで続けられると言われます。
 
ウマの搾乳は、基本的には男女ペアで行います。男性が子馬を母馬の横につけ、女性が搾乳をするのです。搾乳するときには、ウマにかけ声をかけてやります。かけ声には数通りありますが、「グロウグロウ(гру гру)」と声をかけたり、クチュクチュと口内で音を出してやると、母馬がよく乳を出すと言われています。



搾乳の様子 


子馬を近くにつなげておきます 

 
ウマの乳は、すぐに溜まって流れてしまうので、一日に5~7回搾乳を行わなければなりません。ウマの搾乳を行う家庭は、この時期は朝から大忙し。女性は、ウマの搾乳に加えて、ヒツジやヤギ、ウシも搾乳するのですから、指が痛くなってしまいます。1回の搾乳で、1頭から1リットルほどの乳を得ます。
 
搾乳したウマの乳は、クムズ(қымыз)と呼ばれる馬乳酒を作るために使われます。馬乳酒は、発酵したウマの乳が入った容器の中に、新しく搾乳してきたウマの生乳を加えて、ひたすら攪拌を続けることで作られます。
 
3~4時間ほどしっかりと攪拌したあと、別の容器に取り出してそれを洋服などで包み、ストーブの下で暖めます。適温になった頃を見計らって、できあがり。やってきたお客さんに振る舞ったり、自分たちで飲んだり。
 
ちなみに、年初めには、前年度の馬乳酒の残り、発酵がかなり進んだものに、新しく搾乳して来たウマの生乳を加えて攪拌して作ります。この発酵が進んだものを、コル(қор)といいます。
 
年初めにウマの搾乳を行った最初の日には、かならず外でご飯を食べます。


食事前。祈りを捧げる。 

私が居合わせたその日は、たまたま雨が降っていたのですが、それでも外でご飯をいただきました。とてもおめでたい日だから、という理由だそうです。ウマを結んでいたところのすぐ横で、コールダックと呼ばれる炒め麺をいただきました。
 
馬乳酒ができあがると、今度は宴会が開かれます。カザフの習慣では、馬乳酒を作る家は年初めに馬乳酒ができると親戚や近所の人々を呼んで宴会を開き、馬乳酒を飲み交わします。この行事のことを、カザフ語でクムズ•ムランダック(қымыз мұрындақ)というそうです。





みんなで集まって、馬乳酒を飲み交わす。 わたしも頂きました。

 
馬乳酒には、薬効があると考えられているため、みんな好んで馬乳酒を飲みます。具体的には、血液の流れをよくしたり、肺臓、腎臓にいいと言われています。ウマの生乳にも、薬効があると考えられています。こちらは、特に肺臓にいいと聞きます。私が4月に体調を壊して咳が止まらなかったとき、会う人みんなに「ウマの生乳を飲め!」と勧められました。ちょっとだけ飲んでみたら、味は甘かったです。子ども達は、搾乳したての乳が入っている桶から泡をすくいとってなめていました。泡が甘くて、おいしいんだとか。
 


わぁ、口いっぱいにほおばって... 


おやおや、お姉ちゃんも盗みなめですね。


カザフ語で乳のことをスト(сүт)といい、この言葉でヒツジ、ヤギ、ウシ、ラクダの乳を表すことができますが、ウマの乳だけは、サオマル(саумал)という別の単語が存在しています。カザフ人がウマの乳を重要視してきたことが伺えます。ちなみに、モンゴル国以外のカザフ人は、ウマの生乳を飲まないんだそうです。
 
 
秋になると、馬乳酒を飲む機会は本当に少なくなりますが、冬期でも特別な行事の際に人が集まった場合は振る舞われたりします。その様子からは、彼等が馬乳酒を如何に大切なものと考えているかが見えるようです。
 

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