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火, 17 4月 2012 14:16

名無しのおばあさん

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抱えてた問題が少しずつ解決しはじめてます。
ウルギーへ出発する日も決まり、いよいよかぁと思いながら、ウランバートルの町中を歩いていた今日の昼のこと。


ご存知の方も多いかもしれませんが、ウランバートルの交通状況ってとにかく酷いんです。
毎日毎日ものすごい渋滞してて、バスも車も一行に進まないし、
進まない状況にイライラした運転手がめちゃくちゃにクラクション鳴らしまくるし、
交通ルール?ゆずりあい?何それ?俺優先だろ?みたいな。


そんな状況のなかで、通行人もやっぱりめちゃくちゃなわけで。
赤信号だけど平気で道のど真ん中まで進む。
道って言っても、普通に交通量がめちゃくちゃ多い道のど真ん中まで進むので、
前からも後ろからも車がびゅんびゅんスピード出してきて、もう超危ない。


普通、ちゃんと青信号を待つべきなんですけど、
わかっててもなんとなく体が前に出てしまい、私も無茶な横断をしてしまうのです。
(まねしないで下さい)


で、今日は本当に危なかった。
やっぱり道のど真ん中まで進んで、車の流れが途切れるのを待っていたのですが、
前からものすごい勢いで大型バスが突っ込んできたんですよ。
「あ!これはまずい!」と思ったけど、咄嗟のことで反応できず棒立ち状態になってたら、
知らないモンゴル人のおじさんが私の腕をぐっと引いて
「おい!さがれ!」って言って助けてくれました。


おじさんに御礼をいったら、おじちゃんも、にこっと笑ってその場を去りました。


あー、よかった。よかった。


と、思ったのもつかの間。また同じことを繰り返した馬鹿な自分...。
ついくせで道の真ん中まで飛び出して、動けなくなりました...。
すると、今度は知らないおばあさんが、後ろからすっと腕を組んできて、
「さぁ、前に進みなさい。進まないと、車は譲ってくれないわよ。」
と言って、一緒に渡ってくれました。


さすがに恥ずかしくなり、ものすごく申し訳なくなり、
助けてくれたおばあさんにひたすら謝ってました。
すると、そのおばあさん、歩きながらいろいろ語り始めました。


ば:おばあさん
あ:あたし


ば:「気をつけるのよ、あなた。ウランバートルの道は、危ないから。さっきは、私たち、ちょっと危ない渡り方をしたけれど、本当は車の流れが切れるのをまって、進みなさいね。私のフランス人の友達が、ウランバートルを去る時、私に残していった言葉が、『この町の交通状況をなんとかしてくれ。ここの人達はまるでルールが無いみたいだ。危なくてしょうがない。』って言ってたわ。どうして、モンゴル人は、こうなっちゃったのかしらねぇ。同じところに住んでいる者として、とても悲しい。そして、自分の息子のように、とても心配。毎日、誰かが怪我してるのよ。」


あ:「そうですね。本当にごめんなさい。私も気をつけます。」

ば:「あなた、日本人でしょう?日本人は大好きよ。とても礼儀正しい。あなた、ここに住んでいるの?この先も、ずっとここに住むの?」

あ:「いえ、私は、モンゴルのカザフ人の刺繍文化に興味があって、バヤンウルギーに行くつもりです。」


と、説明すると、おばあさんは、


 ば:「そうなの。カザフの女性はとてもよく働くでしょう。そうなのよね、実は、私はウルギー出身なの。私は、カザフ人です。」

そう、なんと偶然なことに、その女性はカザフ人だったのです!
ウランバートルに住み始めて、5年になるそうです。
彼女は、自分の家族のことを話しつつ、


ば:「(少し寂しそうに)私の本当の娘は、カザフスタンに行ってしまったのよ。あなた、あなたは今ここ、同じ土地に住んでいるのだから、私の娘みたいなもんよ。あなた、もっと気をつけなさいね。まず第一に、自分の身を考えなさいね。それから、一生懸命、研究活動して....成功を祈っているわ。」


と、とても優しい笑顔で、声をかけてくれました。 
私は、なんだか、その出会いがものすごく嬉しくて、嬉しくて、名前を尋ねたのですが、


ば:「名前?わたしの名前は、無いのよ。ふふふ。さぁ、もうお行きなさい。今度は、気をつけて。」


と言って、去っていきました。


たった10分かそこらの、それだけの出会いだったけれど、
私にとっては、とても印象的な出会いでした。
あのおばあさんの笑顔が本当に柔らかい優しい笑顔だったから、忘れられないし、
それに、実は、ここ2週間、ウランバータルにいながらも、
カザフの人やカザフの装飾に関わりのある人に出会う事が多く、
なんだかすごく不思議な縁を感じてます。うまく説明できないけども。


あのおばあさんの名前は聞けなかったけど、
なんだか、またどこかで会える気がするのです.....。



ここ数年、ウランバートルに住むカザフ人も増えていると聞きます。
「モンゴル」という国に住む彼等が、何をみて何を感じているのか、
そういう部分も少しずつみていけたらいいなーと思います。
 


 



 





 


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