今年も、サグサイのイヌワシ祭りの時期がやってきました◎
例年9月の最終週の土日におこなわれていたサグサイ村のイヌワシ祭りですが、今年は1週間早めにおこなわれることになり、9月21日•22日の二日間に渡って開催されました。
 
↑会場までの道中。
 
前日の夜に雪が降ってしまい.....。山には雪がつもり、地面にも雪が残っていたり。おまけに初日は風が強く、9月とは思えないほどの寒さ!冷たい風に打たれて震えながらも、競技者も観客も商人のおばちゃん達も、みんな頑張って耐えました。
 

↑鷹匠さんたちの行進。

 ↑祭り会場に集まる出店。刺繍小物の販売、出張食堂など。たくさんの刺繍布が集まって来て、見ているだけでもうきうき。
 

↑初日。馬上でヤギを引き合う「ククパル」という競技。
 
↑「ティエン•イルゥ」と呼ばれる競技。騎乗した状態で体を傾け、地面にある印を拾い上げます。
 

↑今年もやりましたラクダレース!この競技はサグサイのイヌワシ祭りでしか見られません!
 
 
二日目は、風もやみ、気温もあがり、前日よりも過ごしやすい一日となりました!
 



↑鷹匠がイヌワシを呼ぶ競技。高いところからイヌワシが飛び立ち、一気に地上の鷹匠(がもつ餌)めがけて降下します。
 

↑「クズ ゴアル」と呼ばれる競技。カザフには、男性からの告白を受けた女性が、周囲の人間に告白を受けてOKしたことを表すため、男性を後ろから追い立てる習慣があるそうで、その再現。
 
毎年同じような写真になってしまうのですが、それでもシャッターを切ってしまう。うーん、鷹匠さんかっこいい。今年は会場に集まって来た鷹匠さん達の衣装の写真も色々取ってみました。
 


↑キツネ20匹分のコートだそうです。わお
↑おしりにしっぽつき。
 
 
さて、10月第1週目の土日には、バヤンウルギー県の鷹匠が集結するイヌワシ祭りが開催されます!はりきって、撮影してきたいと思います!寒さにまけない!!!おー!

 

イヌワシ祭り二日目は、やはりイヌワシを呼ぶ競技からスタートしました!
 
 
ですが、一日目と同じ方法で行われず一日目よりさらに高い位置からイヌワシを放します!呼ぶ場所も、腕にではなく、紐に結びつけて獲物にみせかけた肉を使います。
 
 
↑写真左手の山のてっぺんにイヌワシをスタンバイさせる。おお、来るのかな?
 
 
↑鷹匠さんが紐の先にくくりつけているのがイヌワシを呼ぶしかけ。ここに着地させます
 
 
『カァーーーーー!』と、めっちゃ気合い入れてイヌワシを呼ぶ鷹匠さん達。会場にいる人達も一緒になってカァ!^^ すると、イヌワシが、高い丘のてっぺんから、ふわりと飛び出します。
 
 
 
 
暫くふわふわと宙に浮いているイヌワシ。これ、来ないんじゃないかなぁ。。。。。と、思ったら!突然急降下!ものすごいスピードで獲物めがけて飛んできます。はやい!シャッター追いつかない!!!
 
 
↑やっとの思いで撮ったのがこれ。
茶色い固まりが凄いスピードでシューーーっと飛んでいく感じ。
 
 
んで、がしぃ!!!!!!
 
 
がっちり足で掴む!
 
 
普通に降りてくるだけじゃなく、回旋して回旋してしっかり狙って降りてくるイヌワシも。いやぁ、魅せてくれましたよ!!!!!!はらはらどきどきして、すっごい面白かった!!!!会場も、「ブラボー!」とか「マンマミーヤ!」とか、拍手喝采!笑
 
 

 
 
イヌワシが無事に飛んできてくれて、鷹匠さんたちもとっても嬉しい様子でした^^
 
 
 
 
で、お昼タイム。
ちなみに、お昼ご飯にはこんなのを食べました。
 
 

羊肉と羊脂肪の串刺し!すっごいボリューミーで、かつ絶妙な焼き具合!こっちで焼き羊はめずらしく(だいたい煮て食べる)美味しく頂いちゃいました。お値段は、一本3000tg(約180円)。実は、この出店のおじさん、去年今年のサグサイ村のイヌワシ祭りでも焼き羊を販売してたのですが、去年は1本1500tgだったのに、値段が倍になってる?!
 
 
「あれ、おじさん、肉値上がりした?」と聞いてみると、「いま、肉の値段どこもあがっててねぇ。」とのこと。最近は、秋(屠殺シーズン)に入ったので、少しは肉の値段も下がってきたようですが、それでも前年に比べるとモンゴル国全体の物価が高騰していて、肉も例外ではないとか。うーん、大変だぁ。
 
 
さて、この日の興奮はイヌワシだけじゃぁ終りませんでしたよ。
そう!あれです!ククパルです!!!!
 
 
 
 
二人がそれぞれ馬にのり、馬に乗った状態のままヤギの死体を引き合うという競技。今回は死体ではなく、皮でしたが、それでも相当な重さがあり、また、かなりの乗馬技術が必要です。絶対、難しい。。。(ククパルについては、HP内の”カザフの騎馬競技”や、blogの"イヌワシ祭り2012@サグサイ"でもご紹介しています。)
 
 
今回は、ウルギー内のそれぞれの郡から2名ずつ、計24名が代表で出てきて、トーナメント戦を行いました。
 
 
 
 
最初は怖かったし遠目でみてたんだけど、決勝戦に近づくにつれだんだん会場全体がヒートアップ!こ、これは近くでみなきゃ面白くないんじゃないか?!と、思い、無謀にもめっちゃ近くに寄って写真とってみたんです。近くはめちゃくちゃ激しかった!!!!激しすぎた!!!!観客がみてるところに、馬がつっこんでくるは、周りにいる他の馬達もあちこち駆け回るは、こ、怖かった。。。
 
 
↑ヒートアップして
 
↑観客につっこんだ!会場大混乱!
 
 
いつかケガ人でるんじゃないだろうか。と思ったけど、いやぁ、面白かった。ただ、ファインダーから覗いてみてると、距離感がわからなくて危険でした。ドキドキした。。。カザフ人たちも、ククパル観戦は好きみたいで、しかも郡対抗戦なもんだから、自分たちのところの出身の選手への応援が激しかった!
 
 
それにしても、何度も言いますが、やっぱりククパルはすごいパワーと優れた騎馬技術が必要なわけで、カザフ人男性すごいなぁ、かっこいいなぁと、感心してしまいます。
 
 
 
↑渾身の取ったぁ!!!!ポーズ!
 
 
こんな感じで、あっという間にククパルも終ってしまい、お祭りはこれでおしまいかな、と思いきや。閉会セレモニーのあとに、まさかのもうひとイベントがありました。それは。。。
 
 
イヌワシに子狼を狩らせたんです!
 
 
会場には、4歳くらいの子狼が連れてこられ、観客から少し離れたところに放たれました。狼は放たれた瞬間走りだし逃げたのですが、イヌワシがものすごい勢いで急降下し、がっちりと狼を捕らえたんです!!!!
 
 
↑予め捉えていた狼を、放す
 
 
↑放した瞬間、イヌワシが降りてきて捕まえる
 
 
実際、イヌワシは滅多に狼狩りをすることはないと聞きましたが、狼をがちっとひと掴みしたイヌワシをみて、本当にびっくりしました。ちょっと(いや、だいぶ)怖かった。。。
 
 
最後どっきりするような幕の閉じ方をしましたが、とにかくこれで二日間のイヌワシ祭りが終りました。個人的には、写真も撮れたし、かっこいいイヌワシの姿もいいもの見れたし、大満足の二日間でした。^^
 
 

 

10月6,7日は、イヌワシ祭りでした!9月の終わりにもイヌワシ祭りを紹介しましたが、今回行われたイヌワシ祭りはサグサイ村のイヌワシ祭りよりももっと大きい、県全体のお祭りで、バヤンウルギー県全土から腕のいい鷹匠さん達が集結して腕をみせあうという。。。
 
 
↑オープニングセレモニーの様子
 
 
いや、もう、とにかくかっこいいんです。。。
 
 
 
観光客もざっと150〜170人くらい来てました!会場には、いいカメラを抱えたアメリカ人イギリス人スペイン人フランス人、他にも各国からイヌワシ見る為にやってきた人々が集まって、鷹匠さんやイヌワシの写真を撮りまくっていました^^
 
 
↑お客さんも、ほら、こんなに。
 
 
この会場、ウルギー市からだいたい20kmくらい離れたところに位置しています。車でアクセスすればそれほど遠くはありません。私は今回知り合いに頼んで車を出してもらいましたが、会場までのアクセスは、ウルギー市内にある旅行社に車を手配してもらうのが一番確実だと思います。会場に入るためには、一人30$(現地通貨で42000tg)支払う必要があります。
 
 
 
初日は、2つの競技が行われました。一つ目は、鷹匠さんがイヌワシを自分のところに呼んでみせる競技です。一体どんな競技かというと。。。
 
 
↑丘のちょっと高いところにイヌワシを待機させる。(写真左側に見えている小さな赤い旗のところ)鷹匠さんは地上でイヌワシを呼ぶ。すると、イヌワシがふわっと飛んできて。。。
 
 
 
↑鷹匠さんの腕に無事に着地!


この、イヌワシが来るスピードが速ければ速いほど、また、丘から遠くまで行けば行くほど高いポイントをもらいます。このポイントで競うわけです。
 
 
この日はとても寒くて。。。私は会場にダウンコート着て中もしっかり厚着していったのですが(日本でいう2月くらいの格好)それでも寒かった。カメラ構えて待ち構えている観光客たちも、みんな顔をあわせて「寒いね寒いね」っといってました。風がとっても冷たかったのです。
 
 
でも、イヌワシにとっては、かなりいい環境だったのか、鷹匠さんが呼ぶと、どのイヌワシもピシャー!っとすぐ寄ってきました!そのスピードの速い事!!!
 
 
イヌワシが腕に着地したあとにとる鷹匠さんたちのポーズも、また、いい!!!笑
 
 
 
 
で、これを2時間ちかくずっとみてたら、あっという間に、午後に!
1時間のお昼休憩に入りました。
 
 
お昼休憩中は、周りのお店の出番です!観光客も、お買い物タイム!
一番のお目当ては勿論。。。カザフ刺繍!
 
 
↑色んな種類の刺繍小物が、ずらり。
 
 
みんな結構な勢いで買いまくってました。あれ、どこかでみたことがあるような顔のおばちゃん達がいるなと思ったら、サグサイのイヌワシ祭りにも売りにきてた人達!おお、みんな頑張ってるなあ。大きな刺繍布の他に、カザフ文様を施した刺繍かばんや、小物ポーチ、クッションカバーなどが売られていました。私も、なんか買いたいなぁとか思ったけど、悩んで悩んでいるうちに、いいなぁと思ってた品は次々に買われていく。。。あーあ。
 
 
↑刺繍入り鞄や、絨毯を購入している人が目立つ
 
 
刺繍の他にも、よく売れてたのが、狐の毛をはった帽子。
帽子には、ケレイ帽子とナイマン帽子と呼ばれる2種類があって、ケレイ帽子の方が売れ行きがよかったみたいです。
 
 
↑写真手前(左)がナイマン帽子、奥(右)がケレイ帽子。
 
 
たっぷり休憩時間を取った後は、いよいよ午後の部。もうひとつの競技、ティエンイルゥがはじまりました。
 
 
この競技は、まずスタート地点を設定し、離れたところに赤い印を置きます。競技者は、馬にのり、速いスピードでその印に近づき、騎乗したままその印をすくいあげる、というものです。
 
 
↑こんな感じに走ってきて。。。
 
 
↑体をひねらせ
 
 
↑ひょいっとね!
 
 
そんな簡単な競技ではないので、みんながみんな取れるわけではないけれど、決まればめちゃくちゃかっこいい!さすが県のお祭りですからね、腕のいい騎手が集まってきてました!拾う拾う!ホントかっこいいーーーー!!!!
一人で観戦しながらめっちゃそわそわしてた。笑
見てて楽しくって楽しくって。。。会場のほかのお客さんも、一緒になってかけ声かけたり。。。大盛り上がり!ひゅーー!!!
 
 
 
 
イヌワシ祭り初日はこんな感じで幕を閉じました!
んで、興奮さめやらぬまま、祭りは次の日に、続く!blogも続く!
9月22日•23日はイヌワシ祭りでした。
 
ウルギーでは、毎年9月10月頃に鷹匠達が腕を競い合いみせあうイヌワシ祭りというイベントが行われます。バヤンウルギー県サグサイ群では、毎年9月の最終週に祭りが開催されます。
 
サグサイ郡のイヌワシ祭りは、ウルギー市にあるブルーウルフ社主催で行われています。
ブルーウルフ社の日本語版サイトはこちらから
 
会場には多くの鷹匠達が集まり、民族衣装を身にまとい、馬に乗ってかっこよくお客さんたちを魅了していました。
 
 
 
今年は、祭り前日に雪が降ったということもあり、風がすごく冷たかったぁ。。。でも、その分イヌワシ達がよく飛んでくれました。離れたところからイヌワシを呼んで自分の腕に乗せるところをみせるのですが、まだ狩りの本格的なシーズンが始める前にも関わらず、よく飛んでました。
 
 
イヌワシだけではなく、騎馬技術もたっぷり見せて楽しませてくれます。
(クズコアルとククパルについては、本サイト内の”騎馬技術”のページにも、説明をのせています。)
 
下の写真はクズゴアルと呼ばれる競技です。男女が揃って馬を走らせ駆け抜けていきます。女性が、男性の馬を追い立てるようにしてものすごいスピードで走り抜けていくのですが、これまた高度な技術が必要なのです。なんで女性が追い立てるのかというと?いろいろ説明があるようなのですが、どうも、元々は告白された女性がOKしたら、いちゃつきながら馬に乗って村中を駆けていったのが始まりのようで。
 
 
 
また、ククパルという競技も行われました。これは、死んでいるヤギを、馬の上で引っ張り合い、奪い合うという競技です。馬の上でバランスをうまく取らねばいけませんし、かといって、馬ばかりに気を取られていたらヤギは奪えない。うーん、難しいぞ。。。
 
 
ヤギ1頭の重さは相当なもの。そんなものを、馬の上で軽々ひょいって担いじゃうカザフ人男性達。どんだけ筋肉むきむきなんだ!信じられん!!!
 
 
 
会場にいたお客さんもですが、こちらの競技はやってる本人達も相当エキサイトしてました。そりゃぁ、負けたくないよねぇ。。。
 
 
他には、らくだのレースなんてのもあったり。キレイに装飾品をつけられたらくだ達が、ものすごい勢いで走り抜けていくというもの。大きならくだが思いっきり走り迫ってくるときの迫力といったら!というか、らくだって、どうやって速く走らせるんだろう。。。らくだ達の表情も、必死です。
 
 
 
と、たっぷり一日楽しめるお祭りになっています。会場には、刺繍品など売りにきている人もたくさんいました。値段はそれなりになってましたが、綺麗な刺繍ものがたくさん。
 
ちなみに売られていた商品はこんなポーチや鞄や、巨大刺繍布などなど。
 
 
 
わたしは2日目は事情があっていけなかったのですが、2日目も相当盛り上がっていたようです。途中、雪が降ったりと寒かったようですが。。。
 
 
10月には、県の中心部でまた別のイヌワシ祭りが開催されるようです。鷹匠さんたちのかっこいい姿をおさめるためにも、はりきって行ってこようとおもいまーす^^
 
 
さて、トラックと車で移動し、ヨルカの旦那さんの実家にやってきました。
部屋に入ると、机の上に食べ物がばっちりセッティングされています。
 
 
開始時間は12時の予定でしたが、予定時間をすぎてもほとんど人は集まらず・・・・
しまいには電話で親戚たちを呼び出ししてました。気合い入ってるんだか入ってないんだか・・・
人が集まるのを待っている間、なんとなく口元が寂しく、目の前にあったたくさんのお菓子やパスタをパクパクとほおばってました。(←あとで、これがまずかったと後悔する。)
 
しばし歓談の時間が続きます。
人が集まってきたころ、クグルシン家からもってきた大きな袋たちが開かれ始めました。
 
 
ヨルカの旦那さんの親戚に渡す贈り物たちです。
それぞれの中には、新しい洋服やお菓子、布などの素材など、合計50000-60000tg程度(現在のレートで約3500円ほど)のものが入ってます。これに加えて、絨毯が贈られることになってます(絨毯については、前回のblog準備編を参照)。

贈り物が渡し終えられると、今度はいよいよヨルカ夫婦に贈られる贈り物がお披露目されます。
別室で贈り物が広げられます。
 
 
贈り物は、ベッド、ベッドマット、ベッドカバー、壁掛け(刺繍布)、ベッドの上の部分の飾り、ベッドの足部分の飾り、ベッドカーテン、枕、枕カバー、食器、鍋など。
本当は新しい家に必要なものすべてを贈るので、さらに棚なども用意されるのですが、ヨルカたちがそれを希望しなかったので今回はこれだけ。
 
壁に刺繍布をはって、ベッドの周りを整えて完成です。
 
 
 
 
壁に貼られた刺繍布は、ヨルカのお母さん(クグルシンさんの奥さん)が縫ったもの。
娘を想いながら、1年近くかけてじっくり縫われたものです。
丁寧な縫い目からは、ヨルカのお母さんの性格も見えてきます。
これを作った彼女は本当に心温かいお母さんだなぁと感じるとともに、
きっとヨルカもそういうお母さんになるんじゃないかなと思いました。
 
ベッドが作り終えられると、ベッドの周りで飴が投げられて祝われます。
 
 
みんな必死になって飴を拾います。シャショー!
 
さて、お次は前日の夜に準備したダスタルカンが広げられます。
 
 
肉が皿の上に出され、果物とお菓子がもう一つの皿に出されます。
 
 
写真を撮るのに夢中になっていたのですが、「君も食べなさい!」と自分の指3本分の太さがある立派な肉を頂戴してしまいました・・・で、でかい・・・・食べきれるのか、こんなの。格闘すること20分。なんとか最後まで食べきりました。
 
 
うへぇ、苦しい・・・まぁ、肉も食べ終わったし、これで茶会も終わりかな?
 
 
そんなとき、信じられない光景が目の前に。
 
 
へ?ひつじ?
なんでいまさらヒツジ出てくるの、今食べたじゃん・・・と思ったら、早速お祈りがはじまる。
 
 
なんと、これから屠るというのです!そう、肉を持参した嫁側のご両親に対するお返しとして、
今度は旦那さん側のご両親が肉を出すというのです・・・。
 
屠畜がはじまると、ここで集まっていた人たちがそれぞれ家に帰り始めます。
あれ?これからまたみんなで食べるのでは・・・・
 
「みんなはそれぞれ家に戻って、自分たちの家でお茶を振舞う準備をしているのよ」
 
‼‼??
 
なんと、茶会は一回では済まなかったのです。
集まった旦那側の親戚たちがそれぞれの家で、嫁側の親戚を招待してお茶会を開くというのです。
嫁側のご両親にくっついてきた私はもちろんそのほかの茶会にも出席させていただいたのですが・・・
 
た・・・
 
食べ過ぎで腹が痛い・・・・
 
その後、旦那さんの姉が嫁いだ先でいただき
 
 
旦那さんのご両親が屠畜したものをいただき
 
 
この日は3頭分のヒツジを目にすることに。うっぷ。気持ち悪い・・・・・・・。
 
この時点で時刻は夜の10時。残りの家(5軒)は、翌日に行くことになりました。
私は・・・・・・・翌日は耐え切れず逃げました。はい。
胃薬!胃薬!カザフ人の茶会に参加するのには胃薬は必須アイテムだと実感しました。
 
翌日も、上記のごとくみんな肉を食べ続けたとのこと・・・どんな胃袋してるんだ。
ちなみにこの日は茶会だけではなく、お祝いの品を持ってきてくれたクグルシンさん側の親戚の人たちに
お礼返しをするなどもしてました。お礼を渡したり返したり。やり取りが多くて大変!っと言ってました。本当に大変そう。
 
そんなこんなで、2日間かけてようやくすべての茶会が無事に終わりました。
ヨルカ夫婦には、これからもずっと仲良く円満な家庭を築いていってほしいなぁと思います。
 
8月4日。
 
この日は、私のウルギーでのホームステイ先だったクグルシンさんの次女ヨルカに、
家財道具一式を贈るお祝いの茶会の日でした
カザフでは、嫁いだ娘に対して、
結婚してから1年後に夫婦の新たな生活を祝って家財道具一式を贈る習慣があります
 
ヨルカは7年ほど前に結婚したのですが、経済的な事情もあり、なかなかこの茶会を開くことができずにいました。
それが、なんとラッキーなことに今回の私の滞在中に開かれることになったのです!!
これは絶対にみたい!と、お願いして参加させていただくことになりました。
 
この茶会の事を、カザフ語で「トゥセク・オロン」といいます。
今回のblogでは、そのお茶会が行われるまでの準備の様子について、ちょっとご紹介します。
 
***
 
茶会の5日ほど前。
クグルシン家のある部屋に、新しいマットレスや枕など寝具が置いてありました。
 
 
いよいよ茶会の日が近づいているのか~と思うと、ちょっとわくわく。
ヨルカ夫婦に贈られるものの中でもこまごましたものは、カバンの中に入れて運ばれます。
 
 
ちなみに、カバンの端にはウクウと呼ばれるふくろうの羽がつけられていました。
 
 
カザフの人たちには、大切なものにこのウクウをつける習慣があります。
なぜふくろうの羽なのか?それには諸説あるのですが、よく言われるのが
「ふくろうの羽の模様がコーランの文字に似ているから」
だそうです。だから、この羽はお守りとして、神聖なものとして扱われるそうです。
 
***
 
茶会の3日前。
ウランバートルから大量の絨毯(工場製)が送られてきます。
 
絨毯は、ヨルカの旦那さん側の親戚にお祝いの品(これをコルジュンと呼ぶ。)として贈られるものだそうです。
この時すでにクグルシンさんたちは、旦那さん側の親戚から様々なお祝いの品をいただいていました。
 
 
 
つまりクグルシンさんたちは、お祝いの品をくれた旦那さん側の親戚に対して、そのお返しとして絨毯やら新しい衣服、布などを贈らなくてはいけないのです。8軒分も準備したとか。大変~。
 
***
 
茶会2日前。
日中、クグルシンさん側の親戚達に茶会が行われることを知らせにまわります。
すると夕方にはクグルシンさんの親戚達がクグルシンさんの家に集まってきます。
親戚たちは、お祝いの品を持ってきます。お祝いの品は、主に洋服など。
この日はお祝いに来てくれた親戚たちと一緒に、羊肉を食べました。
 
***
 
茶会前日。
クグルシン家はますます慌ただしくなっていきます。
夕方、羊を一頭煮込みます。
この煮込んだ羊肉は、箱に入れられ乳製品とともにひとつの袋の中に入れられます。
これとは別にもうひとつ、お菓子と果物がたくさん入れられた袋が用意されます。
 
 
この二つの袋(中身)のことを、ダスタルカンといいます
ダスタルカンは、茶会に持っていかれます。
茶会にはこのダスタルカンに加えて、馬乳酒(この時は10リットルだった)も持っていかれます。
 
写真
 
クグルシンさんの奥さんは、朝から晩まで大忙し。
カザフ人にとって、この「トゥセク・オロン」と呼ばれる茶会が、
本当に大切な茶会であることがわかります。
 
***
 
そして茶会当日の朝。クグルシン家に車がやってくる。軽トラック!
 
トラックに荷物を詰め込みます。
全部詰め終わった後、玄関で飴をばら撒き、出発を祝います。
 
 
これをカザフ語で「シャショー」と言います。投げられた飴は拾っていただきます。幸せのおすそ分けって感じでしょうか。シャショーは、結婚式や卒業式など、お祝いごとのときにはよく行われます。飴は年配の女性によって投げられます。
 
さぁ、これでやっと出発の準備がすべて整いました!
一体どんな茶会になるのか・・・・・・・いよいよトゥセク・オロンに乗り込みます!
 
つづく

 

ナウルズの日、午前中は前回ご紹介したとおり、パレードや広場での出し物を楽しみましたが、午後になるとものすごい勢いでみんな撤収。え??もうおしまい??こんな速いの?ウイ(移動式住居)もあっという間にたたまれてしまいました。
 
 
もっと夕方までお祭り騒ぎなのかなーと思っていたのに、あまりの撤収のはやさに驚きを隠せず。でも人もいないし、いつまでもだらだら広場にいても仕方ないので家に帰る事にしました。家に帰ると、子どもが二人、家でお客様にふるまうナウルズクジェ(お粥)を作ってました。
 
 
すると突然電話が。クグルシンさんでした。ぬ?そういえばクグルシンさんどこいったの??
 
 
クグルシンさんは、家の近所に住んでいる自分の親戚をまわっていたのでした。「とるごい(わたしのあだ名ね)も、こっちに来なさい〜。写真撮りたいでしょ?」と呼んでくれたのでした。
 
 
と、いうことで、ここでクグルシンさんと合流。親戚の方の家にお邪魔しました。
 
 
 
このお宅でも、ナウルズクジェを頂き、肉を頂きました。おいしかった^^
で、これで終わりなのかな?と思いきや、クグルシンさん「次に行くぞ!」と言い出す。え?次があるの??
 
 
と、いうことで、2件目.....
また親戚のお家にお邪魔して、肉食べて、クジェ食べて.....
 
 
 
 
で、また移動。3件目.....
 
 
 
4件目.....
 
 
 
まだある5件目
 
 
 
6件目でやっと家(クグルシン家)にもどり.....
 
 
 
 
いくらお粥ばかりとはいえ、こんなに出されちゃもう胃がもたん!!!!!!!
 
 
 
でもまだ続く、遂に7件目.....うへぇ。
 
 
 
ここまでの写真を見るとおわかり頂けるかと思いますが、基本的に食卓を囲むメンバーはどこに行っても変わってません。というか、親戚同士で集まって、それぞれの家に一緒に移動しながらお粥を食べ歩いていたという感じです。「別に一件で一回集まればいいじゃん」とかいう考えはないのです。それぞれの家にちゃんと移動するという。おもしろい。どこの家から始まって、どこの家で終るとかいう順番はあるのかなぁ。その辺りは、また聞いてみたいところです。
 
 
ちなみに、このあと、クグルシンさんは8件目、9件目に行きました。すごすぎる....。わたしはこの日は限界で、8件目、9件目には翌日行きましたが、ナウルズ翌日はもうクジェもほぼ終っちゃってました。ナウルズ当日に色んな人が出歩いて挨拶まわりするという感じです。
 
 
というか、これだけ近くに(わりと徒歩10分圏内に)親戚が密集していることにびっくり。どうりで、イベント毎にみんな親戚が集まってくるわけだ。
 
 
ナウルズクジェを食べ歩きしてわかったこと。クジェの味は、家ごとに微妙に違ってなかなか面白い。前回でもご紹介しましたとおり、ナウルズクジェは、羊肉や馬肉の煮汁に米を入れたり、麦をいれたり、乳製品を入れたりして作るのですが、肉の煮込み具合や中に入れるものの量によっては、肉味が強かったり、酸味が強かったり、食感が米粥よりもしっかりしてたりと、様々なのです。食べ過ぎて胃にもたれてきつかったけど、でも、どんな味か気になってまた食べてしまう......。うう。贅沢な話なのですが。
 
 
と、いうわけでナウルズはわりと一日であっさり終ってしまった感じでした。ナウルズも過ぎたし、いよいよ春本番になるのかな〜と思いきや、今日は早速雪になっちゃいました....。さむいー。春もどってきてー。でも、これからちょっとずつ一番いい季節がやってきますね^^
 
 
 
<おまけ動画>
クグルシン家にみんながお粥を食べにきた時に、クグルシンさんがギターで演奏して、みんなで歌を歌っていました。その様子をどうぞ。1曲目は途中から、2曲目は”アケメ(父へ)”という曲です。
 
 

 

 3月22日は、ナウルズと呼ばれるヒジュラ暦の新年を祝うお祭りでした。カザフ人はイスラム教を信仰していて、夏のラマダン(断食)や秋に紹介したコルバナイト(犠牲祭)など、イスラムの習慣に則った行事を行います。
 
 
ナウルズは、他のイスラム諸国でも祝われる行事で、ペルシャ語ではノウルーズと呼ばれるそうです。ナウルズはカザフ語読み。地域によって、祝う日にちもちょっとずつずれているようですが、カザフ人は3月22日に祝います。ナウルズは、太陽のお祭りとも言われ、春の訪れを祝う行事です。祝い方も場所、国、民族によって異なるようですが、ここではカザフのお祝いの仕方をご紹介したいと思います。今回は、写真たっぷりでご紹介します!
 
 
***
 
3月22日になる前から、街のあちこちでお祭りの準備をしている様子が見られました。
 
 
前日である21日には、競馬/相撲/コンサートなど、様々なイベントが行われていて、みんなで新年の訪れを盛大に祝っていました。
 
こちらは、相撲のようす。モンゴル相撲をカザフ人がとっていました。大迫力!
 
 
 
こちらは、コンサートのようす。楽器の演奏や歌、踊りなど、たっぷり1時間楽しめました。
 
 
 
3月22日は朝から町中がお祝いムード。みんなの衣装が!!!きれーい!!!いろんな人に声をかけて、写真を撮らせてもらいました。もうこれだけでかなりウキウキ♪ 子どもも大人もみんなすごいおしゃれ〜
 
 
 
午前中は、ウルギー市の中心にある広場でパレードが行われました。民族衣装を着たカザフ人たちが、街を行進しました。
 
 
さすがはウルギー。カザフの衣装だけではなく、モンゴルの民族衣装を着て行進している人達もちらほら見られました。ハルハ族の衣装じゃないのも見られましたが.....どこの衣装だろう??
 
 
パレードのあとは、広場内に建てられていたウイ(カザフの移動式住居)をまわりました。
 
 
あるウイの中からドンブラの音色が聴こえてきて、それに惹かれてふらっと立寄ってみたのですが、なんとそこにはホームステイ先のパパ、クグルシンさんが!
 
 
 
広場には9つのウイが建てられていました。それぞれのウイの中は美しい装飾が施されていました。どうやら、コンテストが行われたらしく、団体ごとにウイを建て、どのウイが一番綺麗か、どこが一番カザフらしさを表しているかを競っていたようです。内部のようすは、こんな感じ。どこみても文様だらけ。
 
 
机の上にはずらっと沢山のお菓子や乳製品などが出され、真ん中には大きな大きな肉のかたまりが。みんなで囲んで食べました。
 
 
 
たくさんの肉を食べることで知られるカザフ人たちですが、ナウルズのときには、あまり大量の肉を食しません。ナウルズのときは、どこに行っても「(ナウルズ)クジェ」と呼ばれるお粥が出されます。このお粥は、羊肉や馬肉の煮汁に米や麦を入れて粥をつくり、さらにアイランと呼ばれるヨーグルトやコルトと呼ばれる凝固乳を加えて混ぜたものです。
 
 
 
 
午前中は、このウイの中で肉と一杯のクジェと頂いただけでしたが、この日の午後はすごいことになりました.......。どんなすごいことになったのかというと、それは後半に続きます!
 
 
<おまけ動画>
★ほんのちょっとですが、パレードの様子はこちらから
最初の方の行進。ビデオ撮ってる事うっかり忘れて、途中でぎゃーぎゃー騒いでいます。ちょっとお聞き苦しいところがあるのですが。
遊牧民を表現しての行進です。
 
★ウイの中での演奏の様子はこちらから
モンゴルブスグインウゼスゲレンというモンゴルの歌を歌っているところです。やや暗いです。
土, 15 12月 2012 06:33

コルバン祭り

 

10月以降なかなかblogを更新できずにいます。
でもその間に、書きたい事はどんどんどんどん増えていくわけなのですが...。笑
この冬は、またこつこつ書いていきたいなと。
 
 
今回は、タイトルにも書いた通り、コルバン祭りというイスラムの犠牲祭について、ご紹介します。
 
 
ウルギーのカザフ人達は、主にイスラム教を信仰しています。それほど厳格なイスラム教徒ではないとも言われますが、とはいえやはり彼等の生活の至るところでイスラム教との関わりを見る事ができます。
 
 
「コルバン」とは、アラブ語起源の言葉で「犠牲」を意味します。ヒジュラ暦にのっとって日にちが決定されているため、毎年開催日が変わります。今年は10月26日〜28日の3日間でした。(来年は、これより10日ほど早くなる予定。)この行事は、人々の幸福な生活を願い、アッラーに祈りを捧げるものです。人々はこの期間に、アッラーに捧げるための羊などの家畜を、必ず屠らなければなりません。コルバン祭は、イスラムの行事なので、ここウルギーに限らず、他の地域のイスラム教徒達の間でも必ず行われます。
 
↑コルバン祭前の町のようす。町のあちこちで、羊やヤギが縛られている。
 
 
私が泊まっているクグルシン家でも、コルバン祭初日の朝は大忙し。まずは、屠殺する家畜を購入するところからはじまりました。このとき、羊1頭190,000tg(現在のレートで日本円に換算すると約11,000円)、子羊1頭80,000〜90,000tg(約5,000円)くらいでした。 お母さん、出来るだけ安く羊を飼おうと必死にあちこちの羊売りに値段を聞きましたが、結局どこも対して変わらないという事で、190,000tgで購入。羊を縛って車のうしろにぽいっと放り込み、連行。
 
 
↑観念したのか?かなり大人しい羊。
 
 
羊を連れてくると、早速屠殺開始。でも、その前に、アッラーに必ずお祈りを捧げます。
 
 
↑これから屠殺を開始。声を出させないようにするためか?羊の首を手で押さえて、このあと一気に首の頸動脈をかっ切る。
 
 
屠殺の詳しい方法は、また別の機会に紹介するとして、屠殺後早速羊の頭や内蔵、羊肉を煮込みます。この日の夜は、親戚達を呼んで茶会が開かれました。みんなで屠った羊をわけあうのです。わけあうときは、はじめに必ず頭の肉をみんなで分け合います。
 
 
↑茶会の様子。羊のもりもりもりあわせが、一皿二皿と出される。
 
 
この犠牲祭の間に、必ず1頭家畜を屠らなければならないと書きましたが、経済的な事情や他なんらかの理由があって、どうしてもこの期間中に屠ることができないという家庭も、当然あるわけで、茶会ではそういう状態にある人々を呼んで、皆でわけあうことになっています。
 
 
また、経済的にこの犠牲祭のために家畜を屠ることが困難な状況にある人々に対しては、トルコのイスラム教の団体らが援助して、家畜を与えているようです。詳しい事は確認できませんでしたが、どうやら数百頭の単位でトルコの団体が家畜を買い占め、それを貧しい家庭に分け与えるらしいです。(ここ、ウルギーは教育機関なども、トルコと密接な関係を持っていると、この時聞きました。)
 
 
ちなみに、この犠牲祭の間に屠った家畜の皮や毛などは、個人的に衣服を作ったりして使用することは許されていますが、その皮や毛を売って、売ったお金を使うことは禁止されているそうです。
 
 
犠牲祭2日目、最終日には、他の親戚の家で茶会が開かれ招待されるなど、沢山沢山お肉を頂きました。ものすごく美味しかった......。んまんま。
 
 
このコルバン祭以降、季節はいよいよ冬に近づき、本格的な家畜の屠殺シーズンがはじまりました。
次回からすこしずつ、家畜の屠殺や肉/内蔵の料理方法などを含めて、カザフの食文化について書いていきたいと思ってます。つづく!
月, 02 9月 2013 17:52

カザフの馬乳酒

 

 
8月も終わり、モンゴルは徐々に秋らしくなってきました。
田舎では草も青々とした緑色から、黄色い秋色へ変わっています。
吹く風もひんやり冷たく、過ごしやすい日々が続いています。
 
管理人は今ウランバートルにいます。
ウルギーには、9月中頃に戻る予定です。
自分の留学も残すところ3ヶ月弱。
去年の4月から始まった留学ですが、気がつけば帰国する日がどんどん近づいています。
モンゴルで生活できる今この瞬間を無駄にしないように、
気合い入れ直して見るものしっかり見なくてはと思う今日この頃です。
 
今回は、カザフ人の馬乳酒作りについて、紹介します。


***
 
モンゴル国のカザフ人は、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ラクダの5畜すべてを搾乳の対象としています。他の地域に居住するカザフ人は、どうやら条件が異なっているらしく、ウシとウマのみ搾乳しているところもあるようです。
 
ウマの搾乳は、7月初め頃から始まるようです。子馬が産まれてから1ヶ月経過した頃から行われ、8月下旬まで続けられると言われます。
 
ウマの搾乳は、基本的には男女ペアで行います。男性が子馬を母馬の横につけ、女性が搾乳をするのです。搾乳するときには、ウマにかけ声をかけてやります。かけ声には数通りありますが、「グロウグロウ(гру гру)」と声をかけたり、クチュクチュと口内で音を出してやると、母馬がよく乳を出すと言われています。



搾乳の様子 


子馬を近くにつなげておきます 

 
ウマの乳は、すぐに溜まって流れてしまうので、一日に5~7回搾乳を行わなければなりません。ウマの搾乳を行う家庭は、この時期は朝から大忙し。女性は、ウマの搾乳に加えて、ヒツジやヤギ、ウシも搾乳するのですから、指が痛くなってしまいます。1回の搾乳で、1頭から1リットルほどの乳を得ます。
 
搾乳したウマの乳は、クムズ(қымыз)と呼ばれる馬乳酒を作るために使われます。馬乳酒は、発酵したウマの乳が入った容器の中に、新しく搾乳してきたウマの生乳を加えて、ひたすら攪拌を続けることで作られます。
 
3~4時間ほどしっかりと攪拌したあと、別の容器に取り出してそれを洋服などで包み、ストーブの下で暖めます。適温になった頃を見計らって、できあがり。やってきたお客さんに振る舞ったり、自分たちで飲んだり。
 
ちなみに、年初めには、前年度の馬乳酒の残り、発酵がかなり進んだものに、新しく搾乳して来たウマの生乳を加えて攪拌して作ります。この発酵が進んだものを、コル(қор)といいます。
 
年初めにウマの搾乳を行った最初の日には、かならず外でご飯を食べます。


食事前。祈りを捧げる。 

私が居合わせたその日は、たまたま雨が降っていたのですが、それでも外でご飯をいただきました。とてもおめでたい日だから、という理由だそうです。ウマを結んでいたところのすぐ横で、コールダックと呼ばれる炒め麺をいただきました。
 
馬乳酒ができあがると、今度は宴会が開かれます。カザフの習慣では、馬乳酒を作る家は年初めに馬乳酒ができると親戚や近所の人々を呼んで宴会を開き、馬乳酒を飲み交わします。この行事のことを、カザフ語でクムズ•ムランダック(қымыз мұрындақ)というそうです。





みんなで集まって、馬乳酒を飲み交わす。 わたしも頂きました。

 
馬乳酒には、薬効があると考えられているため、みんな好んで馬乳酒を飲みます。具体的には、血液の流れをよくしたり、肺臓、腎臓にいいと言われています。ウマの生乳にも、薬効があると考えられています。こちらは、特に肺臓にいいと聞きます。私が4月に体調を壊して咳が止まらなかったとき、会う人みんなに「ウマの生乳を飲め!」と勧められました。ちょっとだけ飲んでみたら、味は甘かったです。子ども達は、搾乳したての乳が入っている桶から泡をすくいとってなめていました。泡が甘くて、おいしいんだとか。
 


わぁ、口いっぱいにほおばって... 


おやおや、お姉ちゃんも盗みなめですね。


カザフ語で乳のことをスト(сүт)といい、この言葉でヒツジ、ヤギ、ウシ、ラクダの乳を表すことができますが、ウマの乳だけは、サオマル(саумал)という別の単語が存在しています。カザフ人がウマの乳を重要視してきたことが伺えます。ちなみに、モンゴル国以外のカザフ人は、ウマの生乳を飲まないんだそうです。
 
 
秋になると、馬乳酒を飲む機会は本当に少なくなりますが、冬期でも特別な行事の際に人が集まった場合は振る舞われたりします。その様子からは、彼等が馬乳酒を如何に大切なものと考えているかが見えるようです。
 

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